宮西尚生〜前人未踏の境地〜

ファイターズブログ

2024年8月4日。この日、誰も影すら見たことのない異次元の記録が誕生した。

#25 宮西尚生

2007年に大学生、社会人ドラフトで北海道日本ハムファイターズに3位指名されたところから、鉄腕の物語は始まった。

開幕一軍を果たし、この1年目から14年連続で50試合登板とフル回転の左腕。

2016年、2018年、2017年はリーグ最多ホールドを獲得する等、長年勝ちパターンの一角を担ってきた。

2017年は第4回WBCの代表として選出され、1失点も許さずに世界3位に貢献した。

FAの葛藤

2014年には国内FA権を取得。

シーズン終盤に左すねの疲労骨折により登録抹消となるも、クライマックスシリーズには復帰し、その鉄腕ぶりを披露した。

シーズンオフには地元関西球団の阪神タイガースが名乗りをあげると思われたが、残留を決意。

「監督の為なら潰れてもいい」と信頼を寄せている恩師栗山監督にキャプテンを指名され、2015年をスタートさせた。

新庄政権2年目となる2023年に海外FA権を取得するもこれも行使せず。

公式発表では、「この肘が壊れるまでファイターズにささげるという覚悟」とコメントしている。

ホールド記録

17年目のシーズンとなる鉄腕は、前人未到の400ホールドまであと7として2024年を迎えた。

これはすでに歴代最多記録であり、2位の山口鉄也投手で273ホールド。

現役投手で次に続くのは益田投手、又吉投手の170であり、到底400には届きそうにない。

そんな誰も見たことのない境地にとうとう足を踏み入れる日が来た。

伝説の0804

ホークス-ファイターズの16回戦。PayPayドームでのカード最終戦。

伊藤大海投手が好投を続けるも、4回裏に栗原投手に1発を浴びてしまい1点ビハインド。

前日の試合、2人で7打点を出した清宮選手、万波選手に期待してしまうものの、その状況に燃えないわけがない男がいた。

7回表。ピンチヒッター野村選手。

バックスクリーンへ放つツーランで試合をひっくり返した。

その裏まで伊藤投手は3安打、7奪三振とまとめて、1点リードのまま本日の主役にマウンドを託す。

◾️VS 牧原大成

123kmスライダーボール
138kmストレート見逃し
スライダー右安

◾️VS 周東 佑京

ストレート一犠打

◾️VS 中村 晃

128kmチェンジアップ見逃し
141kmストレート見逃し
128kmスライダーボール
126kmスライダーファウル
ストレート中飛

今宮選手を打席に迎えたところで池田投手へスイッチ。

レフトフライに打ち取り、誰も到達圏内にすらいなかった400ホールドを記録された。

奇しくも宮西投手が大記録を成し遂げた最後のバッターが同年プロ入りの中村選手だった。

残念ながら9回裏にホークスナインが意地を見せ、サヨナラ負けを喫してしまったがNPB大記録がここに生まれた。

宮西投手は試合後にこうコメントを残した。

  • やっと達成できたって感じです
  • コンちゃんとか有原とか(元)ファイターズのメンツも、むしろホールドに貢献してくれたメンツがいる前でできたというのは、なんか良かったなと思います
  • 大分呪縛から解放された感じはあります

大記録を達成した次の目標を聞かれこう答えた。

401と行きたいところですけど、このチームでほんまに日本一目指したいという気持ちが強い。

選手としては晩年を迎えた左腕は引退も視野に入れる時期かもしれない。

かつてユニホームを脱ぐ決意をした武田勝氏が後輩に、「俺の為に優勝しろ」とコメントし、「優勝してやったぞ」と答えた宮西投手。

歴史は繰り返すものだが、ファンとしてこのやりとりが継承されるのはもう少し先であって欲しい。

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